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元教師による支援局[教師&保護者向け]人は変われるということ(1)

2016.06.04

 長い教師生活で、数え切れないほどの生徒たちと出会いました。

その中でも特に印象に残っている男子生徒のお話です。

ある日、電車の中で突然声を掛けられました。

「畑先生ですよね。○○です。
今も、漢字、頑張ってます。」
”漢字?”唐突な言葉に、顔を上げた私の前に、男子高校生が立っていました。

「え、あの○○君?高校生になったの?」
内心、”よく高校に入学できたなあ”という気持ちでした。

彼は中学一年の時の教え子で、何か
自分に自信をもてるものがあると、人は変われるんだということを示してくれた生徒です。

中一当時の彼は、元気で人なつっこいという印象。

小学校時代は勉強は苦手で、友達とのけんかやトラブルが目立っていたようでした。

初めての定期試験のときです。
彼が、試験監督をしていた私を呼び、
「問題の漢字が読めないから、仮名をふって欲しい。」 と言うのです。

今までそのようなことを言われたことがなかったので、呆れてしまいましたが、その理由を聞くと
「小学校の担任の先生は、テストの時はいつも仮名をふってくれていた。
だから、先生もそうして欲しい。」ということでした。

漢字の読み書きができないのは、特別な事情があったわけではなく、ただ覚えようとしなかっただけということだったので、
「テストはみんな公平だから、それはできないのよ。頑張ってやりなさい。」と断りました。

そんな状況なので、当然、どの科目も成績はよくありません。

そこで、授業の初めに漢字10問テストをやっていたので、とにかく漢字練習を勧めてみました。

でも、勉強の習慣がない彼には、すぐには意欲も出ず、ずっと0点が続いたので、声を掛けて、易しいものから一つずつ覚えようということにしました。

すると、ある日、1点が採れたので、「やったね。次は2つ覚えよう。」と目標を少しずつ、高くしていきました。

5点採れたとき、「やれば、できる。」ということを実感したようでした。
そして、家でも漢字練習をするようになり、10点満点が採れたのです。

それからは満点が続くようになり、級友たちからも「○ちゃん、スゴイね。」と賞賛されるようになりました。

周りから、勉強で褒められるなんて、めったにないことだったと思います。

それまでは難しくて自分には無理だと、避けてきた漢字を克服することで、勉強ができず、けんか(腕力)で存在を示していた彼が、少しずつ変わっていきました。

残念ながら、私はその一年間だけで、他校へ異動となりました。


彼が、その後、学級委員に立候補したり、合唱コンクールの指揮者になったり、頑張っていることを耳にしました。
卒業までは一時、ヤンチャな行動もあったようですが、あの彼が高校生になったなんて、半ば信じられず、本当に嬉しくなりました。
もちろん、漢字だけで成績が良くなったわけではないと思いますが、ひとつ自分に自信がついたのだと思います。

何か一つでも自信をもてることがあれば、彼のように変わることもできるし、他とのいい関係を築くこともできるように思います。

畑千栄子

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