性同一性障害

性同一性障害とは、生物学的性別と自己意識での性が一致しない状態にあるため、自らの生物学的性別に持続的な違和感を持つことをいう。
性同一性障害をもつ人は、自らの性別を嫌悪し、「自分の性器が間違っている」「成人になったら反対の性器を持つようになるであろう」と考えたり、自己意識に一致する性を求めて、生物学的性別を己れの性の自己意識に近づけるために性の適合を望むこともある。
DSM-5(精神障害の診断と統計マニュアル第5版)では性別違和という診断名を用いているが、日本精神神経学会では診断名としては「性同一性障害」を使用している。

性同一性障害のあらわれ方
①小児期
小児期の性同一性障害のあらわれ方は、自分の生物的性別に対して強い嫌悪感をもち、反対の性になりたいと望んだり、自分は反対の性であると主張したりする。
そのため男の子の場合、女の子向けのおもちゃや人形をほしがったり、ままごと遊びでは女性の役になることを好み、女の子の場合は、男の子のような活発な遊びやスポーツを好むようになる。
また、自分と同じ性の服装を拒み、反対の性別の服装をしようとすることや、トイレに関して悩みが生じるようになる。
日常生活の中で反対の性別として行動するため、いじめを受ける場合もある。
男の子の場合は、4歳までにあらわれることが多く、女の子の場合は思春期にあらわれることが多いといわれている。

②思春期以降
思春期以降の性同一性障害のあらわれ方としては、自分の生物的性別に対する不適切感から、現実的に自分の性と異なる性の服装をしたりする。
そして男性の場合、声変わりや喉仏が出る、体つきが筋肉質になる等の体の変化に強い嫌悪感を抱き、すね毛をそる等の行動がみられることもある。
女性の場合は、乳房が膨らむ、月経、体つきが丸みを帯びてくる等の女性的な体への変化への強い嫌悪感から、乳房を晒しで巻いて膨らみを隠そうとしたりする。
また、学校や職場といった社会的人間関係でも、反対の性別としての役割を果たすことを望み、実際そのように実行する。
性への違和感に悩んだり、周りの人からの理解を得られない等のことから強い憂鬱感をもつことも多い。

性同一性障害の原因と治療
性同一性障害の原因は、はっきり解明されていないが、有力的な説として、胎児が成長する過程でホルモンのバランスが崩れ、体と脳の性別に異常が生じるためといわれている。
そして、性同一性障害の治療としては、下記3つが行われている。

①精神療法
性同一性障害に対して、なかなか周りから理解を得られないということが現状としてある。
そのため、性同一性障害をもつ人は幼少期の頃から自分の症状に対する不安や葛藤があり、悩みを抱えていることが多い。
そのような精神的な苦痛を和らげるためにカウンセリングによる精神療法が行われる。

②ホルモン療法
十分な精神療法を行っても生物学的性別と自己意識の性の不一致に悩み、身体的特徴を少しでも自己意識の性に合わせようと希望する場合はホルモン療法が行われている。
ただし、年齢は満18歳以上であること、また、十分な身体診察を行い、ホルモン治療をする上で必要な条件を満たしていることが必要である。

③外科的療法(性別適合手術)
外性器等に外科的に手を加え、主として反対の性別に近づける治療法である。
第一段階としての精神療法、第二段階のホルモン療法の治療を行ってもなお依然として生物学的性別と性別の自己意識との不一致に悩み、手術療法を強く望んでいる場合、年齢が満20歳以上であり、性別適合手術にあたり必要条件を満たし、あらゆる可能性を考慮して医療チームが手術療法に移ることが適切であると判断する場合に行われる。

 

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