心理カウンセラー Counselor

心理カウンセラーになるには?資格や特徴など、わかりやすく解説

心の悩みを抱えている人を助けたい、困っている人の心に寄り添いたい――そんな想いを抱いて、心理カウンセラーという職業に興味を持つ方は多いでしょう。しかし、いざ心理カウンセラーを目指すとなると、たくさんの資格があるので、どれを選んだらいいのか悩んでしまうかもしれません。

そこで今回は、心理カウンセラーに関する資格の種類やそれぞれの特徴をご紹介します。

また、心理カウンセラーに向いている人の特徴についても解説しますので、ぜひ参考にしてください。

心理カウンセラーとは

心理カウンセラーとは、悩みや不安を抱えている相談者(クライアント)の話に耳を傾け、相談者の心の問題を解決に導くための手助けをする職業です。問題の解決に向けて相談者自身が行動できるよう、相談者の心に寄り添いながら話を聞いていきます。

 

例えば、職場の同僚に嫌みを言われたことがきっかけとなって会社に行くのがつらくなり、心理カウンセラーのもとを訪れた人がいたとしましょう。
心理カウンセラーは相談者の話す内容に対し、「同僚の言葉が嫌みに感じて、会社に行きたくない気分になったんですね」など、ありのままを受け止めて共感を示し、信頼関係を築いていきます
さらに、うなずき、あいづち、オウム返しなどの単純な応答や、相談者の感情や話す事柄に対し、応答や要約、質問などをしながら、前向きな気持ちで人生が送れるような方向に導いていくのです。相談者はカウンセラーと話をすることで、自分が抱えている問題点を整理し、考え方の癖や長所などに気づき、みずからが悩みを解決する方法を見つけることが可能になります。

心理カウンセラーのニーズは年々高まっている

家庭内の不和や企業内のパワハラ、学校内のいじめなど、現代社会にはメンタルヘルスが不調になるストレスの要因が多数存在します。そんな社会的背景を受け、メンタルヘルスの問題に対する世間一般の理解度は、年を追うごとに高まりつつあります

1992年には、世界精神保健連盟が、メンタルヘルス問題に対する世間の意識を高めることを目的に、毎年10月10日を「世界メンタルヘルスデー」に定め、その後、国連機関の世界保健機関(WHO)も協賛して、正式な国際記念日となりました。

また、脳や心に起因する疾患(障害)、およびメンタルヘルスへの理解を促進する「シルバーリボン運動」も、世界メンタルヘルスデーに併せて普及啓発イベントなどを世界規模で行っており、日本国内でも展開しています。

メンタルヘルス問題への意識の高まりから、カウンセリングを受けられる場所は増えており、気軽に通える環境が整ってきました。また、2017年には、国家資格として「公認心理師」が誕生しています。心理カウンセラーは社会に必要不可欠な職業になってきており、活躍の場はますます増えていくことでしょう。

心理カウンセラーの活躍の場

心理カウンセラーの活躍の場は、教育機関や民間企業、医療機関、福祉施設など、多岐にわたります。それぞれの現場でどのように活躍しているのか見ていきましょう。

 

【1】教育機関に勤めるスクールカウンセラー

いじめや不登校児童生徒の増加といった社会的な問題が深刻化したことにより、文部科学省では1995年から臨床心理士などをスクールカウンセラーとして配置し、経費の補助を実施してきました。スクールカウンセラーは非常勤の職員で、相談体制は1校あたり平均週1回、4~8時間といった学校がほとんどのため、学校を掛け持ちしたり、別の職業と兼任したりしながら働いている方が大半を占めています。生徒本人からの相談だけでなく、保護者や教職員の相談に対応することも多いので、学校関係者との関係構築も重要です。カウンセリングをする際の窓口となる担当教員や養護教諭と連携し、スケジュールを組み立てていきます。

 

【2】民間企業に勤めるカウンセラー

企業で働く人々の悩みに耳を傾けるのが企業内カウンセラーです。職場の人間関係や職務内容、長時間労働などにストレスを抱えている従業員に対してカウンセリングを行います。

厚生労働省が公開した「令和2年 労働安全衛生調査(実態調査)」によると、仕事や職業生活で強いストレスを感じている労働者の割合は、54.2%を占めていました。この数値は、企業に勤める人々が、メンタルヘルスケアの必要性を感じていることの裏づけといえます。また、労働安全衛生法の改正により、2015年12月から、労働者が50人以上いる事業所では、毎年1回ストレスチェック検査が義務づけられるようになり、それに伴って常駐型の企業カウンセラーも増えました。民間企業におけるカウンセラーの需要は、さらに高まっていくことでしょう。

 

【3】クリニックなどの医療機関に所属するカウンセラー

医院やクリニックなどの病院に所属する心理カウンセラーは、医師の指示を受け、認知行動療法などの精神療法を行います

カウンセリングを通して、患者さんの心の問題に向き合うのが心理カウンセラーの務めです。病気の元になっている心理的な原因を見つめ、患者さんが生きにくさを抱えているようであれば、解消できるように導きます。さらに、患者さんだけでなく、その家族をサポートすることもあります。

 

【4】福祉施設に勤める児童心理司・心理判定員

児童相談所や福祉関係相談所、療育施設などに勤務してカウンセリングを行う児童心理司や心理判定員には、公務員資格の保有が必須です。カウンセリングの対象は、乳幼児や児童、身体障害者、知的障害者、高齢者など多岐にわたり、面接や行動観察、心理検査を中心に行います

児童相談所では、虐待を受けた子供に話を聞くだけでなく、保護者に対しても問題解決ができるように働きかけます。また、カウンセリング対象の子供に関わる地域の関係者とも連携し、協力体制を作っていくことも重要です。

児童心理司や心理判定員になるには、4年制大学の心理学科卒業や心理系科目の単位を取得して地方公務員となり、地方上級心理職の試験に合格する必要があります。単位の取得や試験合格などに対し、時間をかけて臨みましょう。

 

【5】独立開業型のカウンセラー

心理カウンセラーの中には独立開業をして、自身でカウンセリングルームを運営している方も少なくありません。独立をすると、自分の考えと裁量において、自由な時間体系で仕事ができるため、副業や育児、介護などの合間に活動できるなどのメリットがあります。

一方で、各種資格を取得するだけでなく、経営者としての資質も求められます。また、相談者によっては外部との連携も必要なので、同業者や関連施設と懇意な関係を築くことも重要です。

 

心理カウンセラーに関する資格の概要と取得方法

心理カウンセラーにまつわる資格を探してみると、あまりにもたくさんの資格があって、驚いた方も多いでしょう。そこで、それぞれの資格の特徴と、受験資格について詳しく解説していきます。

【1】公認心理師

公認心理師は、相談者の心理状態を観察し、結果を分析して、相談内容に応じた助言や指導などの援助を行い、場合によっては相談者の関係者に対しても問題解決ができるように働きかけます。

公認心理師は、心理職における唯一の国家資格です。教育方針や修得すべき科目などが公認心理師法によって厳密に定められており、社会的な信頼度が最も高い資格といえます。厚生労働省が発表した合格率は、2020年の試験で53.4%となりました。

<公認心理師の受験資格>

公認心理師になるには、4年制大学で指定科目を履修した後、大学院で指定科目を履修するか、指定施設で2年以上の実務経験を積む必要があります。なお、現任者に定義された区分Gに該当する人は、2022年までの受験資格に対し、実務経験5年という条件がプラスされます。受験資格の詳細については、公認心理師法施行規則と、文部科学省および厚生労働省から発出された受験資格に関連する通知文書などで確認しましょう。

 

【2】認定心理士

認定心理士は、心理学の専門家として仕事をするために必要な基礎学力と技能を身につけていると認定された人を指します。心理カウンセラーや臨床心理士などの資格を取得した方の中には、認定心理士としての基礎が試験勉強の役に立ったと答えた方も大勢います。

認定心理士は、公益社団法人日本心理学会が認定する民間資格です。大学で心理学の基礎知識や技術を修得することで認定が受けられます。合格率は93~97%とかなり高めです。

<認定心理士の申請資格>

認定心理士になるには、4年制大学の卒業後か卒業前に、日本心理学会へ心理学関係科目修得単位表などを送付して、審査を受ける必要があります。審査に通過すれば、晴れて認定心理士の仲間入りです。また、日本心理学会に5年以上連続して正会員として在籍し、心理学関連科目を担当する大学等の教員を務めた人も、資格認定を受けることができます。

 

【3】臨床心理士

臨床心理士は、臨床的な心理学の技法を使って相談者の心理療法を行う専門資格です。相談者に対して的確な支援をするだけでなく、相談者の関係者や地域社会とも連携して関係性を構築していく能力も求められます。臨床心理士は、公益財団法人日本心理士資格認定協会が認定する民間資格です。近年の試験合格率は60~65%を推移しており、試験自体は難しくないのですが、試験を受けるためには、臨床心理士養成に関する指定大学院か、専門職大学院の修了を基本とする、受験資格の取得が必要です。それゆえに、心理職の中では難関の資格といえるでしょう。

<臨床心理士の受験資格>

臨床心理士の認定試験を受験するには、指定大学院を修了し、所定の条件を満たす必要があります。

 

【4】認知行動療法士

認知行動療法士は、認知行動療法を活用し、クライアントの偏った考え方を適応的な考え方に修正し、気持ちを楽にする専門家です。

認知行動療法とは、現実の受け取り方や否定的な考え方に働きかけて心のストレスを軽くしていく治療法で、1970年代にアメリカで開発されました。日本では、2010年4月に厚生労働省が保険診療として認可しています。

認知行動療法士は、一般社団法人日本推進カウンセラー協会が認定する民間資格です。合格率は、公表されていません。受験資格をあらかじめ取得し、試験に向けてしっかりと対策をしましょう.

<認知行動療法士の受験資格>

認知行動療法士の認定試験を受験するには、一般社団法人日本推進カウンセラー協会認定の心理カウンセラー資格を取得済みで、ハートフルライフカウンセラー学院が実施している認知行動療法士養成講座を修了しているか、大学の心理学科や、それに隣接する学部を卒業している必要があります。

 

【5】心理カウンセラー

心理カウンセラーは、悩みや不安を抱えている人の話に耳を傾け、心の問題を解決に導くための手助けをする職業です。心理学や精神医学、心身医学、心理療法などの専門知識を持ち、カウンセリング技法を相談者に対して実践していきます。活躍の場は、教育機関や民間企業、クリニックなど多岐にわたります。心理カウンセラーの資格には多くのものがあり、そのひとつが一般社団法人日本推進カウンセラー協会認定の心理カウンセラーです。前項でご紹介した認知行動療法士の資格を得るには、この心理カウンセラー資格も取得しておく必要があります。

<一般社団法人日本推進カウンセラー協会認定の心理カウンセラー受験資格>

一般社団法人日本推進カウンセラー協会認定の心理カウンセラー試験を受験するには、ハートフルライフカウンセラー学院が実施しているカウンセラー&メンタルトレーナー養成講座を修了しているか、大学の心理学科や、それに隣接する学部を卒業している必要があります。

 

【6】国家資格キャリアコンサルタント

国家資格キャリアコンサルタントは、キャリア形成や職業能力開発などに関する専門家としてさまざまな人から相談を受け、相談者が自分の適性に気づき、自分に合った職業を選択できるように促す仕事です。

職業能力開発促進法にもとづいて、2016年4月に国家資格となりました。企業の人事や教育関連部門、大学のキャリアセンター、公的就業支援機関、人材紹介会社などで相談者の悩みに対応し、適性の発見を助け、希望の職業に就くための支援を行っていきます。

<国家資格キャリアコンサルタントの受験資格>

国家資格キャリアコンサルタントになるには、国家試験に合格し、キャリアコンサルタント名簿に登録することが必要です。受験資格は、厚生労働大臣が認定する講習の課程を修了しているか、キャリアコンサルティングとしての実務経験が3年以上ある人に限られています。

 

心理カウンセラーに向いているのはどんな人?

ここまで読んでみて、自分が心理カウンセラーに向いているのかどうか、気になった方も多いでしょう。そこで、どのような人が心理カウンセラーに向いているのかを、詳しく解説していきます。

 

聴く力と読み解く力がある

心理カウンセラーは、人と深く関わる仕事です。人の心に関心があり、じっくり話を聞ける人に心理カウンセラーは向いています。

相談者の悩みは表面的なものではなく、自身でも気づきにくい心の深いところにあるものです。相談者とは信頼関係を築き、心を開いてもらって、不調の原因を深く掘り下げる必要があります。根気強く問題解決の方法を探すためには、相手の話をよく聴き、相手が本当に伝えたいことを引き出す力と、相手の言いたいことをよく理解し、真意を読み解く力が必要です。

ただ漫然と話を聞くだけでなく、相手の表情や声のトーンなどにも注目して、真剣な態度で耳を傾けます。適度にあいづちを打ったり、うなずいたり、話をさえぎらずにペースを相手に合わせたりといった技法を自然に使えるようになると、相談者からより深く話を引き出せるようになります。

 

距離感を保てる

カウンセリングにおいては、相手の話す内容に賛同して調子を合わせるのではなく、相談者の気持ちに寄り添って、共感を示していくことが重要です。同調を避け、共感をするためには、距離感を一定に保つ必要があります。感情移入をして距離が近くなりすぎると、相談者がカウンセラーに特別な気持ちを抱くようになり、依存心が強くなってしまうからです。

また、距離が近すぎると、相談者がカウンセラーに警戒心を抱いてしまい、本心が話しづらくなってカウンセリングを効果的に進められない場合もあります。

カウンセラー自身も、相談内容に気持ちが左右されると、平常心が保ちづらくなります。カウンセリングをする上では、安定した精神状態で正常な判断ができるよう、相談者と適度な距離を保ち、気持ちの切り替えを意識的に行うことが重要です。

 

広い視野を持っている

カウンセラーに必要なのは、広い視野を持つことです。今見えている範囲に存在する問題だけでなく、その背景にまで思いを馳せて深く考察し、相談者の気づきと行動を手助けすることが求められます。相談者の立場や状況は人それぞれで、抱えている問題もさまざまです。誰にとっても万能な問題解決方法があるわけではないので、幅広い視野や知識を動員して、それぞれの心の問題に対応していく必要があります。

 

心理カウンセラー資格の取得を目指す方へ

心理カウンセラーの仕事は、相談者の「心」と関わる仕事です。学校や企業、病院、福祉施設など、働く環境によって仕事内容は異なりますが、相談者の話をよく聞き、みずからが悩みを解決する方法を見つけるために手助けをするという基本は同じです。

どんな状況にある、どのような人をサポートしたいのかを思い描いて、資格取得に向けてがんばっていきましょう。

試験について

  • 試験項目

    (1)学科
    ・カウンセリング概要、カウンセラーの理念などの科目群
    ・心理学、心理療法各論などの科目群
    ・カウンセリング技法、実践などの科目群
    ・精神医学、心身医学、ストレス、メンタルヘルスなどの科目群
    (2)実技
    ・カウンセリング実践の方法により、カウンセラーとしての基本的態度、カウンセリング技法について審査

  • 認定試験開催⽇

    1回目:9月末
    2回目:3月末

  • 申し込み期間

    1回⽬:8⽉1⽇〜8⽉31⽇
    2回⽬:2⽉1⽇〜2⽉28⽇

  • 受験対象

    下記(1)または(2)に該当する者とする
    (1)ハートフルライフカウンセラー学院が実施しているカウンセラー養成講座
    (エキスパートコースもしくは、プロフェッショナルコース)を修了している者
    (2)大学の心理学部またはそれに隣接する学科を卒業している者

  • 申請について

    ・20,000円
    ・一般社団法人日本推進カウンセラー協会に申請した際には、認定心理カウンセラーとして登録されます。
    ・更新料は発生しません。一生の資格になります。

     

    一般社団法人日本推進カウンセラー協会の認定資格試験への、お申し込みをご希望の際には、申請書に必要事項を記載し、協会宛に郵送してください。
    申請書は、下記からダウンロードできます。

     

    申請書が届き次第、試験フロー、スケジュール、申請料の振り込み先などについて、協会から連絡があります。
    認定資格試験申請書(2010-01-25・6KB)

よくあるご質問

  • 心理カウンセラーとして活動する際、資格は必要ですか?

    心理カウンセラーとして活動する際には、心理カウンセラーの資格が必ず必要というわけではありません。
    しかし、心理カウンセラーの資格を有していることは、カウンセリングに必要な、心理学・療法・カウンセリングなどの知識やスキルを保有していることの証明になるため、クライアントからの信用につながります。

  • 心理カウンセラーと精神科医の違いは何ですか

    心理カウンセラーと精神科医はともに心の問題に対してケアを行っていく専門家です。
    違いは、心理カウンセラーは、対応する方をクライアントといい、クライアントの問題改善や自己成長を促します。カウンセリングではコミュニケーション、心理アセスメントを活用します。精神科医は、対応する方をペイシェント(患者)といい、症状改善、治癒を促します。治療では診断しながら症状によっては、薬物の処方を行います。
    心理カウンセラーは心理カウンセラー資格などに対し、精神科医は医師免許となり保険診療が可能となります。

  • 心理カウンセラー資格の有効期間はありますか?

    一般社団法人日本推進カウンセラー協会認定の心理カウンセラー資格は、一度、資格を取得すると一生の資格となります。
    そのため、更新のための費用や講座出席などの更新条件はありません。
    なお、一般社団法人日本推進カウンセラー協会では、心理カウンセラーのスキルが維持・向上するために、協会員には月1回程、心の専門家として必要な情報をメールにて送信しております。
    また、ハートフルライフカウンセラー学院においては、交流会や実践講座などを開催し、フォローアップ体制を充実させています。

資格取得者の声

星野 ナタリアさん

ロシア語と日本語のバイリンガル心理カウンセラーとして活動

星野 ナタリアさん
カウンセラー&メンタルトレーナー養成講座

日本人は本音を言わないと聞いていたこともあり来日の頃はストレスの毎日。しかしロシア人と基本は同じ、通じ合えることに気付きました。日本人との関わり方を指南しながらメンタルケアをしていきたい

学院長・石川千鶴が直接説明

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