今日は何かを始める日ではなく、終えていい日 ― 大晦日の心理学

はじめに:大晦日の夕方に、心がざわつく理由

12月31日の夕方。

街は年越しの準備で慌ただしく、テレビやSNSには「来年こそ」「新しい自分へ」といった言葉が並びます。

学び

けれどその一方で、どこか落ち着かない。
一年をうまく終えられなかった気がする。
何かをしなければいけないような気がするのに、何もしたくない。

そんな感覚を抱いている方も、決して少なくありません。

実はこの状態は、心理学的に見てとても自然な反応です。
大晦日は、何かを始めるための日ではなく、心が一年を「終えよう」とする日にあたるからです。

本記事では、心理学・認知行動療法の視点から、
・なぜ大晦日に心が揺れやすくなるのか、
・なぜ無理に前向きにならなくてよいのか、
そしてこの時間をどのように過ごすことが、心の回復につながるのかを、丁寧に見ていきます。


1.人の心は「区切り」に反応するようにできている

人の心は、時間をただ連続したものとしては捉えていません。
心理学では、私たちは時間を意味のある「区切り」として認識する傾向があることが知られています。

年末年始、誕生日、入学や卒業、転職。
これらは単なる日付の変化ではなく、心理的な節目として機能します。

認知心理学では、この現象を
「時間的ランドマーク効果(Temporal Landmark Effect)」
と呼び、研究が行われています。

節目に差し掛かると、人の心には自然と内省が生まれます。
この一年はどうだったのか。
何ができて、何ができなかったのか。
自分はこのままでいいのだろうか。

大晦日は、こうした問いが最も強く浮かびやすいタイミングなのです。

行動


2.大晦日に前向きになれないのは「失敗」ではない

「年末なのに前向きになれない自分はダメだ」
そう感じてしまう方もいらっしゃるかもしれません。

しかし、心理学的に見ると、それは誤解です。

大晦日は、行動を起こすためのモードでも、目標を設定するためのモードでもありません。

この時期、脳と心は自然と整理し、統合する方向へ向かっています。

その状態で無理に
「来年の目標を立てなければ」「ポジティブでいなければ」と自分を押し出そうとすると、心はかえって強く抵抗します。

それは怠けではありません。

心が回復プロセスに入っているサインなのです。


3.「終わらせる力」は、心理的回復に欠かせない

認知行動療法では、前に進むために必要なのは「始める力」だけではないと考えます。

同じくらい大切なのが、「終わらせる力」です。

終わらせるとは、反省会を開くことでも、自分を責めることでもありません。

それは、
うまくいかなかった出来事を「今年の出来事」として区切ること。
今の自分にできなかったことを、今の自分の限界として認めること。
答えの出ない感情を、無理に解決しようとせず棚に置くこと。

こうした心理的な区切りがないまま新年を迎えると、心は翌年も同じ疲労を引きずりやすくなります。


4.後悔や未消化の感情が浮かぶのは、整理が進んでいる証拠

大晦日になると、思い出したくなかった出来事や、後悔している選択、言えなかった言葉が浮かぶことがあります。

それは、心があなたを責めているからではありません。

情報を整理し、意味づけをしようとしている状態です。

心理学では、感情を「消すべきもの」ではなく、「意味をもつ情報」として扱います。

今夜浮かぶ感情に、すぐ答えを出す必要はありません。

今日は「理解しよう」としなくてよい日なのです。


5.大晦日に勧めたい、心理学的に意味のある過ごし方

大晦日に、特別なことをする必要はありません。

心理学的に見て意味のある選択は、むしろ次のようなものです。

目標を立てない。
一年を評価しない。
感情を修正しようとしない。

温かい飲み物を飲み、静かな音楽を聴き、呼吸を整える。

身体を整えることは、心の回復を大きく助けます。


6.「何もしない」ことは、心理学的に高度な選択である

私たちはつい、行動すること、変わること、成長することばかりを求めてしまいます。

けれど心理学の視点では、あえて何もしない時間は、回復と再統合に不可欠です。

大晦日は、
頑張らなくていい日。
役割を下ろしていい日。
正解を出さなくていい日です。

家族


おわりに:今日は、終えていい日です

今日は何かを始める日ではありません。
今日は、終えていい日です。

うまくいかなかった一年でも、納得できなかった選択があっても、疲れ切ってしまったとしても。

それを「今年の自分」として、そっと置いていい日です。

心が自然に動き出すのは、そのあとで構いません。


ハートフルライフカウンセラー学院より

ハートフルライフカウンセラー学院では、
「無理に前向きにさせない支援」
「考えを尊重し、行動につなげる心理学」
を大切にしています。

年末のこの時間が、ご自身の心を大切に扱うきっかけとなれば幸いです。

ハートフルライフ協会

«

学院長・石川千鶴が直接説明

スクール説明会

  • 学び方、学びの活かし方、資格取得の方法など詳しく説明
  • レッスン・カウンセリングまで体験できる
ストレスの謎と解消法がわかる5つの特典付き

\きっと得する!/
無料スクール説明会はこちら

参加者の方は
5の特典付き