“夏に落ち込む”は甘えじゃない:7月に知っておきたい“サマーブルー”の正体

1. はじめに──「夏がしんどい」と感じるあなたへ

夏の始まりは、一般に“解放感”や“明るさ”と結びつく季節とされがちです。

しかし、そんな中で「なぜか気分が落ち込む」「何をしても楽しく感じられない」と感じている人は、決して少なくありません。

「夏に落ち込むなんて甘えてるだけ」「もっと前向きにならなきゃ」──

そんなふうに自分を責めていませんか?

その心の状態には名前があります。それが「サマーブルー(夏型うつ)」です。

この記事では、7月に急増するサマーブルーの正体と原因、心理学的な背景、そして実践的なセルフケアについて解説します。

summer blue

2. サマーブルーとは?──“夏型うつ”の特徴とメカニズム

▶ サマーブルー(Summer Blue)とは

サマーブルーとは、暑さが本格化する7月から8月にかけて現れやすい、気分の落ち込み・無気力・睡眠障害などの症状を指します。

いわゆる「冬季うつ(Seasonal Affective Disorder)」の逆バージョンとも言われ、近年、医療・心理学の領域でも注目されています。

【主な症状】

  • 意欲の低下・無気力感

  • 睡眠の質の低下(寝つけない・早朝覚醒)

  • 食欲の減退(または偏食)

  • 人付き合いを避けたくなる

  • 気温や湿度に強いストレスを感じる

▶ うつ病との違い

一般的なうつ病との違いは、発症が季節限定であることと、外部刺激に対する感受性が高まる傾向があることです。

例えば、日差しや人混みに対して「過剰な疲れ」を感じやすい人は、サマーブルーの兆候が強く現れることがあります。

夏バテ

3. なぜ“夏”に心が不安定になるのか?──心理学的な背景

▶ 1. 自律神経の乱れと睡眠ホルモンの影響

夏は日照時間が長くなることで、体内時計(サーカディアンリズム)が乱れやすくなります

その結果、睡眠に関係するホルモン「メラトニン」の分泌が不安定になり、眠りが浅くなる→日中の疲労感が増す→気分が沈むという悪循環に陥りがちです。

▶ 2. 「楽しむべき季節」という社会的プレッシャー

SNSにあふれる夏イベントや旅行写真、明るく活動的な空気感──

本来の自分の気分とギャップを感じたとき、人は「なぜ私は楽しくなれないのか」と自分を責めやすくなります。

心理学ではこれを**「認知のゆがみ」**(例:全か無か思考、一般化など)と呼びます。

心の状態が本来の価値判断を歪ませてしまうのです。

▶ 3. 生活構造の変化によるストレス

7月は、職場では異動や評価、家庭では子どもの夏休み開始など、生活のリズムが大きく変化する時期です。

人は変化に適応するのにエネルギーを要するため、環境の変化だけでもストレス反応が強まる傾向があります。

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4. サマーブルーから自分を守る3つのセルフケア

1. 認知のバランスを整える:「思考の癖」を見直す

「夏なのに落ち込んでいる私はダメだ」

「他の人はうまくやっているのに、自分は…」

このような思考は、**“認知の歪み”**によるもので、事実に基づいた評価とは限りません。

まずは、自分がどんな「思考の癖」を持っているかを認識するだけでも、心理的な余裕が生まれます。

▶ セルフチェックの例:

  • 何でも極端に考えていないか?(例:「全部失敗だ」など)

  • 人の評価に過敏になっていないか?

  • 事実と感情を混同していないか?

これらを紙に書き出すことで、客観的な視点が得やすくなります。

2. 小さなルーティンで「心の定点」を持つ

夏は日々の生活が不規則になりがちですが、そんなときこそ**“小さな習慣”**が心を安定させます。

▶ 実践例:

  • 毎朝同じ時間に5分間だけ散歩する

  • 夜寝る前に1行でも日記を書く

  • 湯船に浸かる日を週に2回だけでも設ける

こうした**「自分で決めたことを守る」体験**は、自己効力感(self-efficacy)を高め、気分の安定につながります。

3. 感情の“見える化”と受容

不安やイライラ、悲しみなど、ネガティブな感情は無理に打ち消そうとせず、「そのまま感じていい」と認めることが大切です。

心理学ではこれを**「感情の受容」**と呼び、自己肯定感を育てるうえで不可欠なスキルとされています。

▶ 実践法:

  • モヤモヤしたらスマホのメモに「今の気持ち」を書く

  • 「〇〇してもいい」「〇〇でもいい」と自分に許可を出す

  • 信頼できる人に、短くても感情を言葉にして伝えてみる

書き出すだけでも、脳の“扁桃体”という不安中枢が鎮まることが研究でも明らかになっています。

笑顔

5. セルフケアを「学び」として深めるという選択

セルフケアとは、単なる気休めではなく、心の筋トレです。

しかし、自己流だけでは限界を感じる方も少なくありません。

特に「認知の歪みをどう扱えばいいのか?」「感情の受容ってどういうことか?」といった点は、体系的に学ぶことで初めて理解と実践が深まる領域です。

心の整え方をしっかりと身につけることは、人生を生きやすくする武器になります。

また、家族や大切な人を支える力にもなります。

この夏、自分の心に丁寧に向き合い、「質のよい学び」を通してセルフケアの力を養うことを、ぜひ検討してみてください。

それは決して特別な人のためのものではなく、今この文章を読んでいるあなたにも開かれている道です。

 

6. おわりに──「心にも季節がある」と知ること

私たちは、常に“元気”でいる必要はありません。

季節によって心が揺らぐのは自然なことです。

むしろ、それに気づき、無理をしない選択ができる人こそが、自分の心に責任を持てる人です。

7月の不調は、あなたの弱さではなく、「休息と見直しが必要」という心のサインかもしれません。

大切なのは、そのサインを受け取り、自分を大事にする力を身につけること。

その第一歩として、今日できる小さなセルフケアから始めてみましょう。

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