仕事が行き詰まる人は、能力ではなく“前提”で失敗している

── 判断の土台を修正する、認知行動療法の思考設計

1.はじめに

仕事がうまくいかなくなったとき、多くの人はまず「自分の能力不足」を疑います。
知識が足りないのではないか、努力が足りないのではないか、向いていないのではないか。

しかし、心理学、とりわけ認知行動療法の視点から見ると、仕事が行き詰まる原因は、能力そのものよりも、「物事をどう捉え、どう判断しているか」という前提にあることが少なくありません。

同じ職場、同じ業務、同じ条件であっても、消耗していく人と、比較的安定して働き続けられる人がいます。
この違いは、性格や根性の差ではなく、判断の土台となっている思考の構造の違いによって生じます。

本記事では、
なぜ「前提」が仕事の結果を左右するのか、そして、その前提をどのように修正していくのかを、認知行動療法と心理学の視点から、実務に即して解説していきます。

職場のコミュニケーション

2.「能力があるのに行き詰まる」という現象

仕事の現場では、次のような人をよく見かけます。
・真面目で責任感が強い
・周囲からの評価も一定以上ある
・業務知識や経験も十分に積んでいる

それにもかかわらず、
・同じところで何度もつまずく
・判断に迷い続け、疲弊していく
・人間関係の問題を一人で抱え込む
このような状態に陥っていく人がいます。

ここで重要なのは、問題が起きているのは「できないから」ではないという点です。

むしろ、「ちゃんとやろう」「正しく判断しよう」とする姿勢が強い人ほど、特定の前提に縛られ、選択肢を狭めてしまうことがあります。

3.認知行動療法が注目する「前提」とは何か

認知行動療法(CBT)は、
人の行動や感情の背景にある認知(ものの捉え方・解釈・前提)に注目します。

ここでいう「前提」とは、例えば次のようなものです。
・「仕事では常に正解を出さなければならない」
・「迷うのは能力が低い証拠だ」
・「相手を不快にさせてはいけない」
・「一度引き受けた以上、断ってはいけない」

これらは本人にとっては「当たり前」であり、意識されないまま判断の土台として機能しています。

しかし、この前提が固定化していると、判断の幅が極端に狭まり、結果として行動が行き詰まりやすくなります。

認知行動療法では、この無意識に置かれている前提を言語化し、検討し、再設計することを重視します。

 

4.行き詰まりは「努力不足」ではなく「設計ミス」

仕事がうまくいかないとき、多くの人は次の方向で解決しようとします。

・もっと頑張る
・もっと我慢する
・もっと自分を責める

しかし、認知行動療法の立場から見ると、これは壊れやすい対処です。

なぜなら、行動を支えている前提が変わらない限り、どれだけ努力しても、同じ構造の中で消耗を繰り返すからです。

必要なのは、努力の量を増やすことではなく、「どの前提で判断しているのか」を見直すことです。

5.判断の土台を修正すると、何が変わるのか

前提を修正すると、次のような変化が起こります。

・判断が早くなる
・「全部自分で背負う」状態から抜け出せる
・人間関係を構造として捉えられるようになる
・失敗や停滞を、個人の欠陥ではなく調整課題として扱える

これは楽観的になるという意味ではありません。むしろ、現実をより正確に、冷静に扱えるようになる変化です。

認知行動療法は、ポジティブ思考を押し付けるものではなく、判断の精度を上げるための心理学だと言えます。

6.なぜ独学では難しいのか

「前提を見直すことが大切」と聞くと、自己分析や自己啓発と同じように感じられるかもしれません。

しかし実際には、自分の前提ほど、自分では見えにくいものはありません。

なぜなら、それは「考え方」ではなく「考え方の土台」だからです。

認知行動療法では、
・具体的な状況の切り取り
・思考の言語化
・検証の枠組み
・行動への落とし込み
といったプロセスを体系的に用います。

この枠組みがあるからこそ、感覚論や精神論に流されず、再現性のある思考の修正が可能になります。

7.ハートフルライフカウンセラー学院の学びの特徴

ハートフルライフカウンセラー学院では、認知行動療法を「理論として知る」ことを目的にはしていません。

重視しているのは、
・実際の仕事の場面で
・自分の判断をどう組み立てているか
・どこで無理な前提を置いているか
具体的に扱える力を身につけることです。

そのため、
・抽象的な精神論
・性格を変えることを求める指導
・「気持ちの持ち方」に終始する話
は行いません。

認知行動療法と心理学の理論を土台に、現実の判断・行動に直結する形で学びを構成しています。

人生逆転

8.働いている人にも、これから働く人にも必要な理由

この学びは、すでに働いている方にとっては、「これ以上行き詰まらないための修正」として機能します。

また、これから働く人にとっては、「最初から壊れにくい判断の土台を持つ」ための準備になります。

仕事の中で起きる問題の多くは、能力不足ではなく、無自覚な前提のまま判断を続けてしまうことから生じます。

その意味で、認知行動療法は「不調になった人のためのもの」ではなく、仕事と人生を長く続けるための基礎技術だと言えるでしょう。

9.おわりに

仕事が行き詰まったとき、「自分がダメだからだ」と結論づけてしまう前に、一度立ち止まり、問い直してみてください。

今、自分はどんな前提で判断しているのか。

その前提は、本当に現実に合っているのか。

ハートフルライフカウンセラー学院の学びは、この問いに、心理学と認知行動療法の枠組みで答えを出していく学びです。

努力を重ねる前に、判断の土台を整える。
それが、行き詰まりを繰り返さないための、もっとも現実的で知的な選択です。

知的な選択

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